落語協会お囃子、恩田えりのブログです。寄席囃子の話とかとか。


by erioneesan
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円眼鏡。楕円眼鏡。

こんばんわ。

先日ちょっと時間があったので
「白山眼鏡店」へ冷やかしに行きまして。

自分がかけてんのに似てんのあるかなあ
なんてウロウロしているうちに思い出しまして。
「そういえば昔ここで作ったな。
でも度が弱くて疲れるから、使うのやめちゃったんだ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

震災前は【フチなし楕円眼鏡】を使ってました。
大阪天満駅前の「中村眼鏡店」で作ったものでした。
ある日それを自宅に忘れまして。
急いで上野広小路の「メガネスーパー」に駆け込みました。

それが今の【フチあり楕円眼鏡】です。
震災後はフチなしは怖いなと思って
その臨時で作ったのを常用しておりまして。

で、さらにある日それを大阪の友人宅に忘れまして。
以前の【フチなし楕円眼鏡】を探してかけたら
なぜか度が合わない。
仕方ないので「白山眼鏡店」へ駆け込みまして。
同じ形はつまらんな
と、まんまるの【円眼鏡】を選びまして。
ちゃんと作ってくれたんですが
【フチあり楕円眼鏡】の度が強かったせいで
弱く感じてしまいまして。
大阪友人宅から【フチあり楕円眼鏡】を回収したら
「白山眼鏡店」の【円眼鏡】は
箪笥の肥やしになりましたとさ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

で、その【円眼鏡】のことを思い出しまして。
「以前ここで眼鏡を作っていただいたんですが
度が合わなくて使うのやめてしまいまして。
レンズだけ変えるにはおいくらかかりますか?」
と店員さんに伺ったところ
「恩田様、ですよね? 少々お待ちください」

以前、応対してくれたのは彼ではありませんでした。
「白山眼鏡店」はどういう方法で
顧客を把握しているのでしょうか。
不思議です、というか、不可解です。

それはともかく。
「白山眼鏡店」で作ったのは一年半前だった
ということが判明しまして。
「あー。。。そうですか。。。
でももう強いのに慣れてしまっているので
強いレンズに変えてください。
今度持ってきますんで」
と言い残しお店を出ました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

処変わり、青森県は弘前市。

今週は東北公演でした。

二日目。
平内での学校公演が終わり
一行は弘前市のホテルへと向かいました。
荷物を各部屋へ置いた後、ロビーに集合
正楽師匠のお声かけで
タクシーで20分ほど離れた
ステーキハウスへと向かいました。

普段、お店に入ったりする時は
暗黙の了解で偉い人順に入ります。
ところがその時に限って
「えりさんからどうぞ」
と正楽師匠は執拗におっしゃります。

仕方がないので恐縮しつつドアを開けつつ
店内を見回すと。

息を飲む、というのは
ああいうことを言うのだ
と後で思いました。
息を飲みつつ悲鳴を上げる、というのは
ああいうことを言うのだ
と後で思いました。

なぜなら!!!
そこでそうしているはずのない!!!
噺家さんがいたのですから!!!

その噺家さんは!!!
カウンター厨房の中で!!!
コックの格好をして!!!
とても忙しく働いていたのですから!!!

柳家小三太師匠が!!!
とてもキビキビした小三太師匠が!!!
コックの格好で!!!
とても忙しく働いていたのですから!!!

息を飲みつつ悲鳴を上げてしまいました。

そして思い出しました。
小三太師匠が双子だということを。

その後ずっと見ていました。
お兄さんが働く姿をずっと見ていました。
というか、目が離せなくなっていました。

声も姿勢も同じでした。
でも何かが違う。

そうです。眼鏡です。

・・・・・・・・・・・・・・・・

「白山眼鏡店」の【円眼鏡】は
周囲の人々から非常に不評でした。
「なぜそこまでしなくちゃならないんだ!」
と言って来る人もいました。

そんな中、たった一人だけ
褒めてくれた人がいました。

小三太師匠でした。

黒門亭でご一緒した時
師匠が私の顔に釘付けになっていました。
しばらく無言で見つめられた後
「いいね。眼鏡。円いね。いいね」
「あ。。。ありがとうございます」
「いいね。まんまるだね。楕円の人、多いけど」
「あ。。。ありがとうございます」
「いいね。円いね。いいね。いい眼鏡だね」

師匠の眼鏡は円眼鏡でした。

師匠に話しかけていただいたのは
それが初めてでした。
そして今のところ、その時だけです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

お兄さんの眼鏡は楕円でした。

ちょっとしたハプニングがあり
翌日の夕方、もう一度お兄さんの店へ
皆で行きました。
コーヒーをご馳走になり
帰り際、お店の名前「シド亭」の由来を
お伺いしようと話しかけてみました。

お兄さんは私の顔をじっと見つめながら
名前の由来を教えてくださいました。
「師匠の名前。シドフジオって言うの」
「シド、フジオ、ですか」
「そう。昭和天皇と同じくらいの年」
「1901年ですか」
「そう。調べてみて。シドフジオ」

楕円眼鏡の奥にあるお兄さんの瞳は
私の【フチあり楕円眼鏡】を見つめていたような気がしました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

明日「白山眼鏡店」で
【円眼鏡】のレンズを変えてもらい
しばらく使っていたら
また小三太師匠が目の前に現れて
「いいね。円いね。いい眼鏡だね」
と褒めてくれるかもしれないな
などと思いながら、帰路に着きました。

正楽師匠、ありがとうございます。
影向舎さん、ありがとうございます。

いろんなご縁に感謝しつつ。

明日の荷物に【円眼鏡】を入れたら
お土産に持たせていただいた
「シド亭 冷酒 小三太」をいただきます。

お兄さんご夫妻、ありがとうございます。
また、必ずまた伺わせていただきます。


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by erioneesan | 2014-11-28 22:22 | 寄席囃子 | Trackback